この記事でわかること
- 面接でしてはいけない質問の具体例と、その法的・制度的な背景
- 不適切な質問をされたときに応募者が取れる3つの対応策
- 採用担当者が陥りやすい「悪意のないNGパターン」とその言い換え方
なぜ面接に「してはいけない質問」が存在するのか
面怒苦才: 面接って、正直どんな質問でも答えなきゃいけないと思ってました。
エンジェル: それ、大きな勘違いよ。採用面接には「してはいけない質問」というものが、厚生労働省のガイドラインでちゃんと定められているの。
面怒苦才: え、法律的に決まってるんですか?
エンジェル: 職業安定法に基づく厚生労働省の「公正な採用選考の基本」(職業安定局)で明示されているわ。根拠は2つの原則よ。
| 原則 | 内容 |
|---|---|
| ① 広く門戸を開く | 国籍・出身・性的指向・特定の疾患の有無などを理由に応募者を除外せず、求人条件に合致するすべての人が応募できるようにすること |
| ② 適性・能力に基づく選考 | 「その職務を遂行するために必要な適性・能力を持っているか」だけを基準に採用選考を行うこと |
面怒苦才: つまり、仕事に関係ない個人情報を聞くのはダメってことですね。
エンジェル: そうよ。特に「本人の努力や意思ではどうにもならない属性・環境」を問う質問は、採用選考の場で確認してはならないとされているの。面接は「業務遂行に必要な情報を確認する場」だということを、双方がしっかり意識しておくことが大切ね。
エンジェルのお墨付きポイント
採用NGな質問の共通点は「本人が努力しても変えられない属性・環境に関する情報」であること。この視点を持つだけで、不適切な質問を見分けられるようになります。
面接でしてはいけない質問5選・具体例
面怒苦才: 具体的にはどんな質問がNGなんでしょう?
エンジェル: 厚生労働省のガイドラインで「本人に責任のない事項」として例示されているカテゴリをもとに、5つに整理して教えてあげるわ。
面怒苦才: ぜひお願いします!
エンジェル: まず1つ目は「本籍・出生地に関する質問」よ。
- 「出身はどちらですか?(どこ出身ですか?)」
- 「ご両親はどちらのご出身ですか?」
- 「本籍地を教えてください」
面怒苦才: 「出身どこ?」ってアイスブレイクでよく聞きそうですよね…。
エンジェル: そう、それが落とし穴なの。出生地や本籍は本人の意思で変えられない事項で、特定の地域出身者を無意識に評価・除外することにつながりかねないわ。採用担当者が選考に使う目的で聞くことは適切ではないのよ。
エンジェル: 2つ目は「家族に関する質問」ね。
- 「お父様はどんなお仕事をされていますか?」
- 「ご家族に持病をお持ちの方はいますか?」
- 「ご両親の学歴・職歴を教えてください」
- 「ご家族の年収はどのくらいですか?」
面怒苦才: 親の職業とか、確かに仕事の能力とは関係ないですよね。
エンジェル: 家族の職業・学歴・収入・健康状態などは、応募者本人の業務能力と無関係よ。たとえ悪意がなくても、「どんな家庭で育ったか」を聞くことで応募者を属性で判断しようとする意図が含まれている可能性があるの。
エンジェル: 3つ目は「住宅・住まいに関する質問」よ。
- 「今は持ち家ですか?賃貸ですか?」
- 「間取りはどのくらいですか?」
- 「実家暮らしですか?一人暮らしですか?」
面怒苦才: 残業や転勤への対応確認のために聞きそうですけど、ダメなんですね。
エンジェル: そういう確認をしたいなら「急な残業や出張に対応できますか」と直接聞けばいいの。住まいの形態そのものを聞く必要はないわ。
エンジェル: 4つ目は「生活環境・家庭環境に関する質問」ね。
- 「どんな家庭環境で育ちましたか?」
- 「子どものころの習い事を教えてください」
- 「お小遣いはどのくらいもらっていましたか?」
- 「宗教は何ですか?」「支持政党はどこですか?」
面怒苦才: 宗教や支持政党まで!それは確かにプライベートすぎますね…。
エンジェル: 思想や信条に関する質問は、日本国憲法が保障する「思想・信条の自由」の観点からも、採用選考で確認することは不適切とされているわ。「人となりを知るため」という理由があっても許されないのよ。
エンジェル: そして5つ目が「尊敬する人・影響を受けた人に関する質問」よ。
- 「尊敬する人は誰ですか?」
- 「あなたの人生に最も影響を与えた人物は?」
- 「座右の銘を教えてください(宗教的・思想的背景を探る意図がある場合)」
面怒苦才: 「尊敬する人」って、よく聞かれそうな定番質問に見えますけど…。
エンジェル: 回答によって応募者の思想・信条・宗教観が浮かび上がることがあるから、それを採用の判断材料にするのは不適切なの。ただし「仕事上で影響を受けた先輩・上司はいますか」「どんなリーダーシップスタイルに共感しますか」のように、業務や職業観に限定した聞き方に言い換えることは問題ないわ。質問の意図と聞き方の工夫が大切ね。
エンジェルのお墨付きポイント
5つのNG質問に共通するのは「その情報が業務遂行能力の判断に直接関係しない」という点。採用選考で確認してよい情報は、あくまで「その職種・業務を担う上での適性・能力・経験・意欲」に限られます。
「本人に責任のない事項」整理表
- 本籍・出生:出身地、本籍地、出生の経緯など
- 家族に関する情報:家族の職業・学歴・収入・健康・続柄・資産など
- 住宅・住まいの情報:間取り、部屋数、持ち家か賃貸かなど
- 生活環境・家庭環境:生い立ち、家庭の経済状況、地域環境など
- 思想・信条・宗教:支持政党、信仰する宗教、尊敬する人物(思想的背景の推測に使う場合)など
不適切な質問をされたとき、応募者はどう対応するか
面怒苦才: 実際に面接でこういう質問をされたら、どうすればいいんでしょう…。その場で「答えません」とは言いにくいですし。
エンジェル: 気持ちはわかるわ。でも、対応の選択肢は3つあるの。状況に応じて使い分けなさいよ。
エンジェル: まず「対応①:答えない・やんわり断る」。「その点は仕事に直接関係がないと考えているので、回答を控えさせていただいてもよいでしょうか」と伝えることは、採用選考を受ける側の正当な権利よ。答えなかったことを理由に不採用にすることも、本来は適切ではないわ。
面怒苦才: でも実際の面接だと、場の空気もありますよね…。
エンジェル: そうね。現実的には場の雰囲気を読みながら対応することも選択肢のひとつよ。だからこそ「対応②:質問の意図を確認する」という方法も有効なの。「その質問の意図を教えていただけますか?業務に関連している部分があれば、そちらについてお答えします」と聞き返すことで、相手の意図を確認しながら適切な範囲で回答できるわ。
面怒苦才: なるほど、逆に聞き返すんですね。
エンジェル: 悪意のない質問であれば、面接官が意図を言い換えてくれることもあるわよ。そして「対応③:企業の採用姿勢を見極める材料にする」という視点も持っておいて。こうした質問が繰り返されたり答えを追及されたりする場合は、「入社後もこうした属性による判断が行われる可能性があるか」という視点で、その企業の組織風土を見極める参考にできるわ。
面怒苦才: 面接って、自分が評価される場だけじゃなくて、企業を見極める場でもあるんですね。
エンジェル: そうよ、その認識がとても大事なの。転職活動では常にその両方の目を持っておきなさいよ。
エンジェルのお墨付きポイント
不適切な質問をされたとき、「断る」「意図を確認する」「企業評価の材料にする」という3つの選択肢を知っておくだけで、面接での自信と判断力が大きく変わります。
採用担当者が陥りやすい「悪意のないNGパターン」
面怒苦才: 聞く側の企業も、わざと悪意を持って聞いてるわけじゃないこともありますよね?
エンジェル: そうなの。面接でNGな質問をしてしまうリスクは、悪意の有無に関係なく発生するわ。特に注意してほしい「悪意のないNGパターン」が3つあるの。
- アイスブレイクのつもりで聞く出身地・実家の話題:雑談として始めても、選考の場での発言は記録・評価につながる可能性があります。
- 入社後の働き方確認のつもりで聞く住居・家族構成:「残業できますか」「転勤は可能ですか」と直接確認すれば十分です。
- 人物像の把握のつもりで聞く「尊敬する人」「家族の職業」:価値観の確認は「仕事でどんな姿勢を大切にしていますか」「どんな職場環境で力を発揮できますか」のような業務直結の質問で代替できます。
面怒苦才: 採用担当者側も、ちゃんと知識を持っておく必要があるんですね。
エンジェル: そうよ。面接官向けのトレーニングや面接設計の定期的な見直しが、公正な採用選考の実現につながるの。社内の採用担当者全員が「なぜこの質問はNGなのか」という背景を理解していることが重要ね。厚生労働省では「公正な採用選考」に関するガイドラインや事業主向けの手引きを公開しているから、採用担当者の方はぜひ自社の面接設計の確認に活用してみてちょうだい。
今日からのお墨付きチェックリスト
- 「本籍・出生地・家族・住まい・思想」に関わる質問はNG、と頭に入れておく
- 不適切な質問をされたら「意図を確認する」「やんわり断る」「企業評価に使う」の3択を思い出す
- 面接は「自分が評価される場」かつ「企業を見極める場」という視点を持って臨む
- 採用担当者の方は、厚生労働省「公正な採用選考の基本」(職業安定局)を参照し、自社の面接設計を定期的に見直す
- 住まい・家族に関して確認したいことは、直接的な業務関連の質問(例:「転勤は可能ですか」)に言い換える
