7時間の現地調査で11のユーザーインサイトを発見する方法
この記事で得られる成果
この記事はこんな方におすすめ
1. ユーザーニーズが見えない課題
「サービスの利用率が低い」「アクティブユーザーが増えない」——データを見れば数字はわかる。しかし、なぜ使われないのか、何が障壁になっているのかが見えない。
アンケートを実施しても、回答は表面的。「使いにくい」「よくわからない」という抽象的なコメントばかりで、具体的な改善施策に落とし込めない。
■ 典型的な悩み
- アンケートでは本音が聞けない
- 顧客の行動理由がわからない
- 仮説と実態のギャップが大きい
- リモートだけでは限界を感じている
そこで実施したのが、現地に行って7時間かけて11名にヒアリングするという集中調査だった。この1日の調査で、データだけでは見えなかった5つの課題パターンが明確になった。
2. 7時間の現地調査で実践したこと
調査設計:場所・時間・対象の戦略的選定
現地調査を成功させるには、「どこで」「いつ」「誰に」聞くかの設計が重要だ。
| 項目 | 選定内容 | 理由 |
|---|---|---|
| 調査場所 | 特定の利用施設 | 実際のサービス利用者に接触できる |
| 調査時間 | 10時〜17時(7時間) | 時間帯による利用者層の違いを把握 |
| 対象者 | 利用頻度の高いユーザー | 週2〜3回来る"ヘビーユーザー"の行動を理解 |
| 目標件数 | 10名以上 | パターンが見えるサンプル数を確保 |
時間帯による発見も重要だった。午前中の利用者は「ついでに」の軽い利用。15時以降は人が増え、この層は「他の場所も回っている」という行動パターンが見えた。
ヒアリング結果:11名から見えた5つの課題パターン
7時間の調査で11名にヒアリングした結果、明確な課題パターンが浮かび上がった。
ヒアリング結果の内訳(11名)
| 分類 | 人数 | 主な理由 |
|---|---|---|
| 利用している | 1名 | 機能を理解して活用 |
| 使っていない | 10名 | — |
| └ 機能を知らない | 5名 | サービスの認知・理解不足 |
| └ 検索機能が活用できない | 5名 | 「自分に合う情報がない」 |
発見した5つの具体的な課題
ヒアリングから、以下の5つの具体的な課題が明確になった。
課題1:誤った認知(認証機能だけだと思っている)
多くのユーザーが「認証機能だけのツール」だと認識していた。実際は情報検索や各種機能が使えるサービスだが、ログイン時にしか使わないツールだと誤解されていた。
→ 導線設計の見直しと、認証以外の機能訴求が必要
課題2:機能を知らない(5名)
サービスをインストールしているが、「何ができるのか」を理解していない。オンボーディングや初回利用時の説明が不足していた。
→ 初回利用時のチュートリアル強化が必要
課題3:検索機能が活用できない(5名)
「自分が知っている情報がない」という理由で使えないと感じていた。実際には多くの情報が登録されているが、検索しても自分に合った情報が見つからないと諦めていた。
→ 検索機能の改善とレコメンド機能の追加が必要
課題4:時間帯による利用目的の違い
午前中の利用者は「ついでに」の軽い利用。15時以降の利用者は「他の場所も回る」目的。時間帯によって利用目的が異なることが判明した。
→ 時間帯別のコンテンツ提供やレコメンドが有効
課題5:行動をユーザーに任せている
サービス側が「できることを伝えていない」状態だった。ユーザーが自発的に探索することを期待していたが、実際はガイドがないと使いこなせていなかった。
→ プッシュ通知や利用ガイドで能動的に情報提供が必要
仮説とのギャップを理解できた成果
この調査で最も大きかったのは、「自分たちの理想とユーザーの実態のギャップ」を明確に理解できたことだ。
運営側の仮説
- 検索機能は便利
- ユーザーは自分で探せる
- 多機能であることが価値
ユーザーの実態
- 何ができるか知らない
- 入場アプリだと誤解
- ガイドがないと使えない
3. 明日からできる現地ヒアリング3ステップ
同じように現地ヒアリングで成果を出すために、明日から実践できる3ステップをご紹介します。
ステップ1:調査設計「場所・時間・対象」を戦略的に決める
現地調査の成否は設計で8割決まる。以下の3点を明確にする。
| 項目 | チェックポイント |
|---|---|
| 場所 | 実際のサービス利用者に接触できる場所か? |
| 時間 | 時間帯による利用者層の違いを捉えられるか? |
| 対象 | ヘビーユーザー/ライトユーザー両方に話を聞けるか? |
| 目標件数 | パターンが見える最低10件以上を確保 |
ステップ2:ヒアリング実施「答えを求めない質問」で本音を引き出す
ヒアリングの目的は「仮説を立てるため」であり、答えを求めることではない。
効果的な質問例:
・「このサービスをどんな時に使いますか?」
・「使っていない理由は何ですか?」
・「○○機能を知っていましたか?」
・「どんな情報があったら使いたいですか?」
重要なのは、「なぜ?」を3回繰り返すこと。表面的な回答の奥にある本音を引き出す。
ステップ3:結果分析「パターン化して次のアクションに落とす」
ヒアリング後は、必ず「パターン化」する。個別の意見ではなく、共通する課題を見つける。
| 分類 | 件数 | 次のアクション |
|---|---|---|
| 機能を知らない | 5件 | オンボーディング強化 |
| 検索機能が使えない | 5件 | 検索・レコメンド改善 |
| 誤った認知 | 複数 | サービス説明の見直し |
パターン化できたら、優先順位をつけて施策に落とし込む。影響が大きく、すぐ実行できるものから着手する。
まとめ
現地ヒアリングは、データだけでは見えない顧客の本音を引き出す強力な手法です。1日7時間の調査で11のインサイトを発見できれば、次の施策設計が大きく変わります。
重要なポイント
- 場所・時間・対象を戦略的に設計し、パターンが見える10件以上を確保する
- 「答えを求めない質問」で本音を引き出し、「なぜ?」を3回繰り返す
- 個別意見ではなく共通課題をパターン化し、優先順位をつけて施策化する
- 運営側の仮説とユーザー実態のギャップを明確に理解する


