1on1を毎週実施しているのに、「先週何を話したか思い出せない」「合意したはずのことが実行されていなかった」という状況に陥っていないでしょうか。
記録なしの1on1は面談のたびにゼロから始まる対話になりがちです。部下の成長を継続的に支援するには話した内容と合意事項を記録・管理する仕組みが重要です。
本記事では1on1ミーティングの内容を確実に残し、次回の面談や育成記録として活用できる記録シートのテンプレートと記入方法を解説します。
1on1記録シートの目的と使い方
1on1記録シートは面談の「アジェンダを決める前の準備ツール」ではなく、「面談中・面談後に何が話されたかを残す管理ツール」です。アジェンダテンプレートとは役割が異なります。
記録シートを使う主な目的は次の3つです。
- 振り返りの精度を上げる:前回の合意事項を確認してから今回の面談を始められるため、話の継続性が生まれやすくなります。
- 合意の実行を促す:口頭だけで終わらず記録に残すことで、部下・上司ともに「やるべきこと」の認識がそろいやすくなります。
- 育成記録として蓄積する:定期的に記録を積み重ねることで、部下の課題の変遷や成長の軌跡が一覧できます。
記録シートは面談直後に記入し部下と共有する運用が基本です。マネージャーだけが管理するより部下自身も内容を確認できる状態にすることで、合意の実行に対する当事者意識が高まりやすくなります。
1on1記録シートの構成(5欄の役割)
1on1記録シートは以下の5欄で構成します。それぞれの役割を理解して使うことで記録が「後で読み返せる情報」として機能します。
| 欄名 |
記入内容 |
役割 |
| ①日時・参加者 |
実施日時・面談者名(上司・部下) |
記録の基本情報。いつ誰と話したかを特定する |
| ②今回のテーマ |
面談で取り上げたテーマ(1〜3項目程度) |
何について話したかを一目で把握できるようにする |
| ③話した内容の要点 |
議論の流れ・部下の発言・気になったポイントなど |
面談の中身を再現できる状態にする |
| ④合意事項・アクション |
誰が・何を・いつまでにやるか(担当者・行動・期限) |
実行すべきことを明確にし、フォローの起点にする |
| ⑤次回確認事項 |
次回の1on1で必ず確認したいこと・持ち越しのテーマ |
次回の面談に継続性を持たせるための準備欄 |
④合意事項欄のポイント
合意事項は「やります」という言葉だけを残すのではなく、「誰が(Who)・何を(What)・いつまでに(When)」の3点をセットで記入します。この形式にしておくことで次回の面談で「先週の合意通り、◯◯は△△日までにやるはずでしたが進捗はいかがですか?」と具体的に確認できます。
⑤次回確認事項欄のポイント
この欄が記録シートの中でもっとも活用されにくい部分です。「次回アジェンダはその場で決めればいい」と省略されがちですが、面談直後に記入することで次回の面談準備を大幅に短縮できます。1on1で目標進捗を確認する際にも前回の持ち越しがあるかどうかを即座に判断できます。
1on1記録シートの記入方法と具体例
実際にシートを埋めた例を示します。以下は営業チームのマネージャーが入社2年目の部下との1on1後に記入したケースです。
| 欄 |
記入例 |
| ①日時・参加者 |
2026年6月10日(火)10:00〜10:30 / 上司:田中、部下:山田 |
| ②今回のテーマ |
・先月の目標達成状況の振り返り / ・商談でのヒアリング力の課題 |
| ③話した内容の要点 |
・5月の受注件数は目標3件に対し2件。決裁者へのアプローチが遅れたことが要因と本人が分析。 / ・ヒアリングの質問が表面的になっている場面が多く、課題の深掘りが弱い。ロールプレイを試したいとの意向あり。 |
| ④合意事項・アクション |
・山田:今週中に先月失注した案件の要因を書き出し、次回1on1で共有する(6/17まで) / ・田中:6/13の週にロールプレイの時間を30分設ける |
| ⑤次回確認事項 |
・失注要因の分析内容の確認 / ・ロールプレイ後の気づきのヒアリング |
記入時の3つの注意点
- 面談中ではなく面談直後に記入する:面談中にメモを取ることは問題ありませんが、清書・整理は面談直後(遅くとも当日中)に行います。記憶が薄れると③の要点欄が形式的な文章になりがちです。
- 合意事項は部下の言葉に近い形で書く:マネージャーが解釈した文章ではなく「部下が自分で言ったこと」に近い表現で残すと、部下が読み返したときの認識ズレが起きにくくなります。
- 「問題なし」で終わった面談も必ず残す:特に議題がなく雑談に近い面談でも、「テーマ:近況共有、特筆事項なし」と記録しておくことで後から「この時期は状態が安定していた」という育成の文脈が読み取れます。
1on1記録シートの活用方法
次回の1on1での振り返りに使う
記録シートの最大の活用場面は次回の1on1の冒頭です。マネージャーは面談前にシートを開き、④合意事項と⑤次回確認事項を確認してから面談に臨みます。
冒頭の数分で「先週◯◯をやるという話でしたが、どうでしたか?」と確認するだけで、1on1の継続性が生まれやすくなります。この習慣が定着すると部下側も「合意したことは次回に必ず確認される」という認識を持つようになり、行動の実行率向上につながりやすくなります。
合意した行動のフォローアップをより体系的に行いたい場合は、1on1のフォローアップ方法も参照してください。記録→中間確認→次回振り返りの3ステップで実行率を高める仕組みを解説しています。
育成記録として蓄積・活用する
1on1記録シートを3ヶ月〜半年分積み上げると部下一人ひとりの育成記録として機能しやすくなります。具体的には次のような場面で活用できます。
- 人事評価の根拠資料として:「何をどう指導したか」「どんな合意をして部下が実行したか」という事実を客観的に示すことができます。印象評価に頼らない評価の裏付け資料として活用しやすくなります。
- 担当変更・引き継ぎ時の情報共有として:部下の担当マネージャーが変わる際、記録シートがあれば「この人は◯◯という課題を持っていて、こういうアプローチが効いていた」という文脈を引き継げます。
- 部下本人の振り返りに:定期的に部下自身に過去の記録を読み返してもらうことで、自分がどう変化してきたかを実感させる機会になります。
蓄積した記録を面談でのフィードバックに活用したい場合は、1on1にフィードバックを組み込む設計方法も参照してください。記録の事実をもとに育成効果を高める面談構造を解説しています。
アジェンダテンプレートとセットで使う
本記事のシートは「面談後の記録・管理」に特化しています。「面談前の準備・進行設計」には別途アジェンダテンプレートが必要です。1on1アジェンダテンプレートと組み合わせることで、準備から記録まで一貫した1on1の運用が実現します。
まとめ:1on1記録シートは5欄で継続使用するのが基本
1on1記録シートは、①日時・参加者 / ②今回のテーマ / ③話した内容の要点 / ④合意事項・アクション / ⑤次回確認事項の5欄で構成します。
この5欄を面談直後に埋めるだけで、次回の振り返り・合意の実行管理・育成記録の3つの用途に使えるツールになります。
記録シートを使いこなすコツは「完璧に書こうとしない」ことです。③の要点欄は箇条書きで十分ですし、④の合意事項が1件しかない面談も問題ありません。毎回続けることで蓄積が生まれ、1on1の質が継続的に向上しやすくなります。
まずは本記事のフォーマットをそのまま使い始め、チームの実情に合わせて少しずつカスタマイズしていくことをお勧めします。